人間が持ってるネガティヴな部分も出したかった
──なるほど。今年の3月にはソロでの有観客ライヴ〈まるごとれにちゃん0202スプリングツアー2021〉も開催されましたよね。
高城 : 密になっちゃいけないのでバンドさんにやってもらうわけにもいかないし、スタッフさんも人数が限られているというなかで、色々考えましたね。内容も、ゴリゴリに盛り上げるライヴというよりは、しっとりした歌メインのライヴに変更したんです。それも、昨年2020年にライヴができないなかで、「どうしようか?」、「配信ライヴはどんな感じでやろうか?」ってももクロメンバーとしても試行錯誤したり、色々な困難にぶち当たりながら1年間考えて過ごしてきたので、そこで培った柔軟な考えがソロ・コンサートにも活きてきたのかなと思います。
──手応えはいかがでしたか?
高城 : 正直、私はももクロのなかでも歌が得意な方ではなくて、ずっとファンの方からも「声量がいちばんない」とか「リズムが取れない」とか言われてしまっていたんですけど、そこから成長した姿を見せることができた場になったかなと思います。
──歌の部分に関して、参考にされている歌手の方はいらっしゃいますか?
高城 : 最近聴くのは、NiziUさんやTWICEさんですね。ライヴでカヴァーさせていただいたLittle Glee Monsterさんも聴きます。でも歌に関して参考にしているのは、一般の方々があげている路上ライヴの動画や、歌ってみたみたいな感じで投稿しているカヴァー動画を見てますね。
──おお。一般の方の動画を!?
高城 : そうなんです。その人のことをあまり知らないからこそ、先入観なく、純粋に声や歌い方だけに集中して聴けるので、すごく勉強になります。あとは上手くなるコツを教えてくれる動画をお風呂のなかで観ながら、チャレンジしてますね。
──楽曲の話に移りますが、8月18日には初のソロ・アルバム『れにちゃんWORLD』がリリースされます。高城さんの元気なワールドが全開の作品に仕上がっていますが、タイトルはどうやって決まったんですか?
高城 : このアルバムには、これまでソロ・コンサートのたびに作っていただいた曲がたくさん収録されているんですけど、そのソロ曲も元気な曲、かっこいい曲、しっとりした曲、演歌までいろんなジャンルを歌わせていただいたんです。どこをとっても私の世界という意味で「れにちゃんワールド」というのもありますし、世界中の人に届けられたらいいなっていうの想いがあって。そういう願いを込めて、『れにちゃんワールド』というタイトルになりました。
──今作には、これまでの高城さんのソロ楽曲に加えて、新曲が3曲収録されています。まずは1曲目の“SKY HIGH”。かなり夏らしい曲になりましたよね。
高城 : いつもソロ・コンサートは春に行うことが多いので、これまであまり夏っぽい曲はなかったんです。今回は発売日が8月なので、夏らしい曲をいれたいなって思って作っていただきました。みんなが青春時代を思い返したり、その頃の気持ちに戻って、なにかをはじめられるきっかけになるような曲になってくれたらいいなと思っています。
──歌詞もポジティヴですよね。
高城 : 私自身はネガティヴになりやすいポジティヴなんですよ。気にしいなので、すぐ悩むし、ちょっとしたことをずるずる引きずっちゃうんですけど、どこかあっけらかんとしてるというか。ポジティヴなワードは好きだし、聴いている音楽もポジティヴな曲に助けられたりするんです。もちろん自分の過去の曲にもポジティヴな言葉が入っている楽曲は、歌いながら自分自身が元気になったりしたので、この曲も誰かの応援ソングになればいいなと思っています。
──7曲目に収録されている新曲の“Voyage!”も、ポジティヴな歌詞ですよね。
高城 : これも明るい曲で“SKY HIGH”とは似ているけど、少し違っていて。ポジティヴな歌詞ではあるんですけど、でも人間が持ってるネガティヴな部分も出したかったんです。ネガティヴがあるからこそポジティヴにもなれるんだよという気持ちを伝えたいと思って。「人生という海を航海する」みたいなものがテーマになっていますし、PVもそういう雰囲気で作りました。1回くじけても強気な気持ちになれる曲ですね。
──“Voyage!”のPVには、大人っぽい高城さんが出ていますよね。
高城 : “Voyage!”はPVもこだわりました。どうしても私の地元で撮りたかったので、ロケもスタジオも横浜で撮影しました。梅雨の時期に撮ったので「天気が読めないからロケはできないかもしれない」って言われていたんですけど、撮影日は雨の予報だったのに、奇跡的に午前中はバチっと晴れたんです。でもロケが終わったらめちゃくちゃ降り始めて。本当にタイミングがよかったですね。
──そして、作詞・作曲を草野華余子さんが手掛けられた、バラード調の“何度でもセレナーデ”も新曲として収録されています。
高城 : “何度でもセレナーデ”は、私からファンの方に向けたメッセージ・ソングです。ライヴやイベントもなくて、なかなかファンの方と会うこともできないなかで、「私はこういう風に思っているよ」という気持ちを、バラードで丁寧に伝えたいというのがまず第一にありました。でも、聴く人によっては、自分の恋人や家族だったり、大事な人をいまの心境に重ね合わせて聴いてもらって、共感してもらえたら嬉しいですね。
──バラードをアルバムに収録するのも決めていたんですか?
高城 : 決めてました。 私の曲は「元気印! 」みたいな曲が多くて、こういうしっとりした曲ってなかなかなかったんですよね。3曲とも違うテイストの曲にしようと思っていて。ポップな曲、クールな曲、バラードの3曲を入れるのは最初に決めていましたね。